ゆるさない工場

これより、物置、目の当たり。

漫才4「カレー」

ボケ「最近悩みがあって」

ツッコミ「うん」

ボケ「料理が下手やねん」

ツッコミ「自炊とかすんねや」

ボケ「するよーオマエはせえへんの?」

ツッコミ「オレはもう諦めてるから」

ボケ「諦めてるってなに」

ツッコミ「コンロ溶接してもう使えんようにした」

ボケ「なんでそんな次の人が困ることするん」

ツッコミ「まぁオレはせんからええねん。そんでどしたん料理の悩みって」

ボケ「あのな、全部同じ味になんねん」

ツッコミ「どういうことや」

ボケ「あっ、じゃあ、一回見ててや俺の手料理」

ツッコミ「ええで」

ボケ「まず、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、切ります」

ツッコミ「おう」

ボケ「お肉と一緒に、炒めます」

ツッコミ「おう」

ボケ「水、入れます」

ツッコミ「おう」

ボケ「カレー粉入れます」

ツッコミ「おう」

ボケ「出来上がり」

ツッコミ「おう」

ボケ「なんかなー、ぜんぶ同じ味なんねん」

ツッコミ「他の料理もやってみてや」

ボケ「ええよ。なんか俺の手料理に興味出てきたん?」

ツッコミ「ええからええから」

ボケ「今度作ったろか?ん?」

ツッコミ「ええからええから」

ボケ「まず、買ってきた鮭と野菜を焼きます」

ツッコミ「おう」

ボケ「ほぐして、鍋に入れます」

ツッコミ「おう」

ボケ「水を入れます」

ツッコミ「おう」

ボケ「カレー粉を」

ツッコミ「カレー粉入れたら全部カレーなるやろ」

ボケ「ん?」

ツッコミ「カレー粉入れたら、カレーなるねん」

ボケ「え。カレー粉入れたら全部カレーになんの?」

ツッコミ「あいつ、絵の具なら真っっっっ黒やぞ」

ボケ「取り返しつかんやつやん」

ツッコミ「せや、取り返しつかん。カレー粉入れたら、あとはもうカレーにしかならん」

ボケ「カレー粉のせいやったんか」

ツッコミ「カレー粉は悪くないけどな。もう鍋に水入れてる時点でカレー作ろうとしてるから」

ボケ「でも、うちのオカンは最後はでかい寸胴に全部の具材入れて混ぜてたけどな」

ツッコミ「魔女やん」

ボケ「金属バットでかき混ぜてたわ」

ツッコミ「秘薬をつくる魔女やん」

ボケ「んで、カレー粉も」

ツッコミ「秘薬をつくる魔女カレーやん」

ボケ「魔女じゃないよ。ちゃんと納税してるし」

ツッコミ「現代の魔女の識別、納税なんや」

ボケ「でも、良かったわ。カレー粉入れへんかったらええんやな。試しにやってみてもええ?」

ツッコミ「おう」

ボケ「まず、カツオをひとつ買ってきて」

ツッコミ「おう」

ボケ「バーナーで炙り、タタキをつくります」

ツッコミ「おう」

ボケ「次に、豚バラ肉をプチトマトに巻いて」

ツッコミ「おう」

ボケ「それを串に刺して、グリルで焼きます」

ツッコミ「めちゃくちゃ本格的やん」

ボケ「鍋を用意して」

ツッコミ「おい」

ボケ「今までの材料全部入れて」

ツッコミ「おいおい」

ボケ「水を入れて」

ツッコミ「おいおいおい」

ボケ「カレー粉を入れて、煮込みます」

ツッコミ「カレーなってもうてるやんけ」

ボケ「カレーを作る手順を聞くという入社試験が某有名企業で行われたらしい」

ツッコミ「カレーの豆知識みたいなんカレーに呟いてるやん」

ボケ「そうやると、カレーの自己肯定感が上がって旨みが増すらしい」

ツッコミ「なんやカレーの自己肯定感って。てか、カレーなってるって」

ボケ「カレーなってもうてるわ確かに」

ツッコミ「オカンの呪いかなんかか?」

ボケ「オカンの呪いかもしれへん。あっ」

ツッコミ「なんやどうした急に」

ボケ「実はオカンから教わったレシピがあって」

ツッコミ「おう」

ボケ「それが怖くて作ったことがないんやけど、一回聞いてくれへん」

ツッコミ「ええけど」

ボケ「イノシシの心臓」

ツッコミ「なんやほんまに秘薬みたいやな」

ボケ「ウサギの肉」

ツッコミ「ちょっと怖なってきたわ」

ボケ「ヘビの皮、ウシの胃袋」

ツッコミ「材料、干支縛り?」

ボケ「クミン、ターメリックコリアンダー、カルダモン、ナツメグ

ツッコミ「おい」

ボケ「すべて炒めて」

ツッコミ「おい」

ボケ「水を入れて鍋を用意して」

ツッコミ「おい」

ボケ「カレー粉をひとつ」

ツッコミ「手の込んだカレーやんけ」

ボケ「確かにオカンのカレー、お袋の味というより、母なる大地の味がしたわ」

ツッコミ「どんな味やねん。美味しいか美味しくないかもわからんわ」

ボケ「オカンが魔女じゃなくて良かったわ」

ツッコミ「奇天烈カレーつくるオカンってだけやから魔女ではないな」

ボケ「まぁ、魔女じゃなくても、美魔女なんやけどな」

ツッコミ「おっ」

ボケ「おっ」

ふたり「うふふ、ありがとうございました」