漫才6「カフェオレ」
A「この前、喫茶店なるものに初めて入ってみたんよ」
B「喫茶店行ったことなかったんや」
A「うん、コーヒーは奴隷の味がするって誰かが言うてたから」
B「とんだ社会批判やな2度と使うなそんな言葉」
A「でもな、めっちゃ美味しかってんコーヒー」
B「まぁオレもなんやかんや毎日飲んでるなぁ」
A「オレも最近はコーヒー飲みたくてヒマなときは喫茶店行ってるねん」
B「ちょっとハマりやすいところあるよな」
A「へへ」
B「かわいいなぁ。で、毎回コーヒー飲んでんの?」
A「いやそんなことはないよ」
B「あ、じゃあ、コーヒー以外のものも飲んでんねや」
A「たまに席に座ってても誰も何も聞いてくれへん時あるからなにも飲まず2時間くらい座って待ってる」
B「おい、なにしてんねん」
A「いや、一番最初の喫茶店は店員さんがきてくれたからオレのなかでの喫茶店はそうなってんのよ」
B「初めて見たものを親と思うヒナくらい単純やな」
A「え、じゃあ、アレ、なにが正解やったん」
B「カウンター行って注文したらええねん」
A「そういうものやったんか。忙しいから忘れられてる思って帰ってたわ」
B「善意の悪人やな。業務妨害で怒られたらええのに」
A「そもそも、喫茶店のくせして、2パターン用意してくるのおかしくない?」
B「せやな。確かに、そんなバリエーションしてくるほうが悪い気もする」
A「アーティスト、ベストアルバムをよく似たか真逆のニュアンスで2つ出しがち」
B「おい、ポルノグラフィティの赤リンゴ青リンゴの話してんのか」
A「いやミスチルのマイクロ、マクロ」
B「両方とも、両方が名盤やんけ」
B「なんの話やったっけ」
A「えーと、マイナーチェンジ」
B「いや、喫茶店やろ」
A「そのどっちにも属していてなおかつ面白い話思いついたから話していい」
B「そんなキラーパス決められる?」
A「そら、ゴールにズドンよ」
B「それシュートやけどな。ほな、任せるわ」
A「カフェラテとカフェオレ、まったくなにが違うかわからん」
B「あーー」
A「あーー」
B「一緒やねんアレ」
A「嘘やん一緒なん」
B「一緒一緒。あれよ、アイスだって、ジェラートとかシャーベットとか言うやん」
A「あーー」
B「アレも一緒なんよ」
A「ほんまに?」
B「ほんまほんま。道端のおっさんがワンカップ片手に力説してたからほんまやろ」
A「それは、ほんまやろなああいうおっさんは世界の真理と通じているらしいしな」
B「真理の門開けてるから、なんでもわかってるねん」
A「そんで、カフェラテとカフェオレってほんまに一緒なん?」
B「どっちも飲んだことあるけど、あんま味の違いわからんかったよ」
A「ほー」
B「まぁ、オレとオマエみたいなもんやろ」
A「どういうこと?」
B「オレもオマエも人類学で言うたら人間の男なわけやん」
A「ふむ」
B「細かいとこは違うかもせんけど、同じ人間、仲間ってことやろ」
A「まぁ、そんな気にするほどの悩みではないってことか」
B「そうそう」
A「じゃあ、次の話いっていい?」
B「ええよ」
A「チャイラテとソイラテはなに?」
B「あーー」
A「あーー」
B「それも一緒やねん」
A「これも一緒なんや、え、じゃあ、カフェラテもカフェオレもチャイラテもソイラテもぜんぶ一緒なんや」
B「そうぜんぶオレたち」
A「ぜんぶ人間という括りのなかでの違いみたいなものか」
B「そう、誤差の範囲」
A「誤差の範囲にしては、価格の範囲すごかったで」
B「かき氷のシロップって味は一緒らしいねん」
A「え、どうしたん急にかき氷の話して」
B「でも、もし、かき氷の味で値段変わってたらより美味しく感じるやろ」
A「確かに」
B「そういう陰謀や」
A「悪徳喫茶店か」
B「せや。気をつけや」
A「え、じゃあ、もしかして喫茶店ってなに頼んでも同じものしか出てこやんの?」
B「せや」
A「メニュー、あんないらんやん」
B「せやねんアイツら誤魔化してるからあ、でも、ええ喫茶店は違うメニューもあるやろ」
A「え、なによ」
B「紅茶」
A「あーー」
B「あれもコーヒーと一緒?」
A「あれはどう考えても一緒ちゃうやろ」
B「なるほど、これからはコーヒー飲みたくなかったら紅茶頼めばええねんな」
A「そうそう。今までの話をすべてまとめるとだいたいそんな感じやわ」
B「あのさ、1個聞いていい?」
A「なによ」
B「アッサムとダージリンは?」
A「あーー」
B「あーー」
A「一緒や」
B「じゃあ、ぜんぶ一緒やんけ」
ふたり「ありがとうございました」
※この漫才はフィクションです。